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  • EFP取引 具体例 - 3 -

7月1日、「秋田県産あきたこまち」(略)…産地業者のAさんは、12月に手配したいと考えている消費地業者のBさんと取引の交渉を行いましたが、数ヶ月も先の価格を予測することが困難であることから、値段交渉は難航していました。

そこで、これを打開するため、先物市場の価格を利用することとし、EFP取引を前提に12月1日を納入日とする「秋田県産あきたこまち」の現物売買契約を結びました。

EFP取引を前提としたのは、Aさん、Bさん、それぞれが適当だと考える価格で先物市場で売買を行ったうえで、納入日にEFP取引を利用して先物市場から離脱することで、納得する価格での現物取引が実質的に実現すると考えたためです。

なお、契約価格については、納入日のコメ先物価格(20XX年12月限の終値)から2,500円を減算した金額としました。

さて、納入日の取引価格決定方法が定まったことを受け、AさんとBさんは、納入日までの好きな時に、コメ先物20XX年12月限で建玉することになりました。

9月1日:Aさんは作況を見ながら12月限を売付けました。〔18,700円〕
最終的なAさんの実質販売代金は16,200円(18,700円−2,500円)となります。・・・@

10月3日:Bさんはコメの売れ行きを見ながら12月限を買付けました。〔18,200円〕
最終的なBさんの実質購入代金は15,700円(18,200円−2,500円)となります。・・・A

11月1日、AさんとBさんは、現物売買契約を背景に取引所にEFP取引の申出を行い、それぞれが先物市場での取引を決済したことになりました。

その後、AさんはBさんに契約どおり「秋田県産あきたこまち」を、12月限価格(18,500円)から2,500円ディスカウントした16,000円で引き渡しました。

このようにEFP取引を利用することによって、Aさんは@16,200円(契約価格+先物益)で販売でき、BさんはA15,700円(契約価格-先物益)で購入することができました。

この例ではAさんとBさんは、それぞれ先物市場で利益を出すことができましたが、相場の変動により、損失が発生する場合もあります。その場合でも、交渉相手から一方的に押しつけられたものではなく、それぞれが納得した価格で現物の取引を実施できたことに変わるものではありません。

このように、先物価格に所定の値差を加減した価格を契約価格として固定化し、EFP取引を行うことで、オーダーメイドの受渡しが可能となります。

仮に、Aさん、Bさん、ぞれぞれが通常どおり、各自で先物市場の参入や離脱を実施しようとした場合は、大口の注文であればある程、自らの注文によって約定価格が影響を受けるため、希望した価格で注文が実現しないことや同一価格で全量の注文が実現しないケースが発生する懸念が生じます。

これに対し、EFP取引を使って先物市場を利用すれば、約定価格が自らの注文に影響されることなく全ての約定を同一価格で成立することが出来るため、より確実な市場参入や離脱を実現することができます。また、現物取引契約の際にも、透明で公正な先物価格を指標として利用することで、より効率的な価格交渉が期待出来ます。

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